寝起きのよくない君に

毎朝 甘い甘いカフェオレを届けよう――――

 

 

 

 

 

THUNDERBIRD 03

 

 

 

 

午前730分。
可愛い可愛い3つ下の恋人はいまだ夢の中。
訓練の集合は午前1030分。
時間はまだ余裕に見える。

 

「キラ、キーラ」

 

布団にもぐりこんで、頭のてっぺんだけ見えているキラを軽く揺さぶる。
寝起きのよくないキラがこれだけで起きるはずはないのだけれど。

 

「…あ、れ…ミゲル…?」
「起きたか、アスラン」
「もうそんな時間か?」
「集合3時間前だ」
「早くないか?」
「遅いくらいだ。キラに朝食を食べさせないといけないからな」
「…今日のメニューは?」
「サンドウィッチ各種とサラダにベーコンエッグ」
「…トマトとニンジンは?」
「………それなりに」
「…俺、顔を洗ってくる…」

 

げんなりため息をつくアスランを苦笑しながら見送って、再びキラに向き直る。

 

「キラ、ほら起きないと朝飯、食えないぞ」
「…んぅ…」
「キーラ」
「ん〜〜」

 

むずがって布団をすっぽり被ってしまう。
かろうじて頭が見えていたのに布団を引き上げすぎて今度は足が出ている。
その幼い様子に頬が緩む。

 

「きぃら」
「む〜〜」
「…しょうがないな…」

 

布団を被ったキラの頭をひとなでして部屋に備え付けのキッチンに行く。

 

「ミゲル〜〜?」

 

洗面所からアスランが顔を出す。

 

「キラはまだ起きないのか?」
「布団でむずがってる」
「…あいつ…昔から…」
「だいじょーぶだから、支度しろよ」
「ああ、キラにカフェオレ淹れるんだろ?俺にもコーヒー淹れてくれよ」
「ついでだしな」

 

ミルクと砂糖たっぷりのカフェオレとミルクだけのコーヒーを淹れて
キラの傍に戻る。
カップをサイドテーブルにおいて。

 

「キラ」

 

頭のあたりを撫でてやる。そうしたらもぞもぞと動き出す。

 

「………いいにおぃ………」
「起きた?」
「ん…ぉきた…」
「布団から出ておいで」
「ん」

 

起き上がって目をこする。
その仕草がかわいらしくて、思わず目元にキスを落とす。

 

「にゅ…くすぐったぃ…」

 

寝ぼけているのかくすくす笑いながら身を捩る。
何度もキスを落として、覚醒を促す。

 

「ほら、キラ。熱いから気をつけて」
「ぅん」

 

キラにカップを持たせてクローゼットからダークレッドの軍服を
出してやる。

 

「飲んだら着替えろよ?」
「わかってるよぉ」
「いい子だな」

 

さらりと頭を撫でてやる。そうすればキラは嬉しそうに笑う。
そんなところもかわいくて、べた惚れなんだと再確認する。

 

「ごちそうさま。あ、そういえば、アスランは?」
「…外にいると思うけど」
「そっか。ミゲルも外で待ってて?」
「…わかった」

 

ちゅっと額にキスを落として寝室を出る。
ほんとは離れたくないけれど、これ以上ここにいたら襲ってしまいそうだったから。
だからありがたくキラの申し出を受けることにした。

 

廊下に出るとアスランに睨まれた。

 

「…ミゲル」
「アスラン?」
「………俺のコーヒーは?」
「あ」
「み〜げ〜る〜?」
「…悪い」
「…貸しだからな」
「了解」

 

…あんまり高くないといいなぁ…

 

「お待たせっ」
「キラ」
「朝ごはんなんだろうね〜」
『朝ごはんねぇ…』

 

これから起こるであろう騒動に俺と、アスランは思わず頭を
抱えてしまった……

 

 

 

 

俺の淹れたカフェオレしか飲まない君がとてもいとおしいから

どうかそのままの君でいて

 

 

 

新年早々微妙な糖度でスイマセン。
キラちゃんは味覚がオコサマなので
辛いもの、苦いものは得意じゃないんです。
その上好き嫌いも多かったり…